サドシマヒロカ 居留守日記

カテゴリ:作品集( 14 )




陽のあたる場所

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 光がさすようになってしまったんです。

 そう言った時に、へえそうですか、なんて曖昧な返事しかできなかったのがいけなかったのかもしれない。ここ、呉服元町のアーケードが撤去されてからの話だった。
 日の目をみる。光がさすようになる。何か覆いかぶさっていたものがなくなり、これまでの姿をかくしていたものが明るみに露出する。

    光
それを覆う何か
    何か

この3つの関係について思いを馳せる。

1.日の目を見る。光がさすようになる。
 このように、どちらかと言うとポジティブな表現の場合、善悪なぞは、本来つけるべきではないが、わかりやすくするために使用すると。

   光=善
 覆うもの=悪
  何か=善

ということになる。

2.何か覆いかぶさっていたものがなくなり、これまで姿を隠していたものが明るみに露出する。このようにネガティブに表現する場合、

  光=善
覆うもの=善
 何か=悪

ということになる。

では、「光がさすようになってしまったんです。」
この言葉はあきらかにネガティブに表現されていたのだけれども、そういった場合、何か(アーケード内)=善、覆いかぶさるもの(アーケード)=善ともすると、光=悪ということになる。

 この、光=悪という事実に衝撃を受けた。光はいつでも善なのだと思っていたから。そもそもそこに問題があるのか。たしかに、太陽光は時折、悪と化す。
 
 けれどもなぜか、理屈や論理を解っていても、「光がさすようになってしまったんです」というフレーズだけが宙に浮いたまま、私の手に落ちてくることはなかった。意味や論理を超えた何か別のものとして存在し、その言葉は、私をあざ笑うかのように少し先を漂う。

 誰かの手に落ちた時に、その先にあるものを見てみたいと思うのです。

 どう思いますか?

平成23年8月27日 佐土嶋洋佳

とかいたノートを作品とともに設置したら、観に来てくれた皆様が書き足してくれて、行き場のない素敵な一冊の本ができました。
 
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by kylynism | 2011-09-29 15:27 | 作品集

そこでの生活(Dear my grandmother) 2011.9

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2011年2月20日、東日本大地震のわずか20日ほど前に、祖母は死んだ。あの壊滅的な映像をテレビで見た私は、ショックが大きく、しばらく心から笑えなかった。戦争を経験し、数々の苦難を経験してきた祖母は、どう思うだろうか。と思った。


おばあちゃん、日本が大変なことになったよ。怖いよ。


と私は心の中で思った。その数日後、私は不思議な夢を見た。


 もの凄い地震で大揺れで、地面がどんどん斜めになり、左へ左へと押し流されてゆく。
私は、親友と机の下に潜るも、あまりに世界が傾いてゆくので、傾くままに逃げた。
隣りの親友はいつのまにか、従兄弟のお姉ちゃんに変わっていた。
実家から左へ左へと逃げてゆき、親友の実家の近くまで来た時に、あぜ道の向こう側におばあちゃんがいた。真っ赤なTシャツを来た祖母が、こっちこっちと呼んでいたけど、私とお姉ちゃんは、そこまでどうしても行けなかった。祖母の背後には、祖母より少し背の高い人影が見えた。目が覚めると、ツイッター上で昨夜少し揺れたとの情報が流れていた。よくよく考えると、祖母がいたのは、親友の実家の近所だったのだが、そこにはお寺があって、祖母はそこで眠っているんだった。と気付いた。
もしかすると、祖母の背後にいたのはおじいちゃんかもしれない。一緒に眠っているから。


 8月15日お盆最終日に、私は祖母がいたその場所に、実際に行ってみた。当たり前だけれども、祖母はそこにはいなかった。その場所のすぐ隣りにあるお寺の祖母のいるところに、「不朽」という花言葉を持つセンニチコウを供えた。


 私は、人生について考える。祖母の日記をと読み返すと、祖母のそこでの生活や人生が見えてくる。祖母は、その長い人生を真っ当した。


 おばあちゃん、私はこの不安だらけの世の中で、生きて行きます。おばあちゃんの大事にしていた家は、お父さんとお母さんが立派に守ってくれています。新しい何かが生まれそうです。おばあちゃんのそこでの生活を忘れないように、おばあちゃんがこぼした記憶を拾い集めて、私はいつでもあなたに正直に生きていきたいと思います。


2011.9 「佐土嶋家 family exhibition」@田川市美術館
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by kylynism | 2011-09-28 14:28 | 作品集

family

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絵はあまり描きませんが、描くのは好きです。
家、家族、庭
に存在の全てがあるような気がします。
あの頃は傷つける事でしか確認できなかったものを少しだけ静かに確認できるようになった。それは良い事でもあり、何かの終わりを暗示するのかもしれない。ともすると悪いことでもある。
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by kylynism | 2011-06-02 17:44 | 作品集

川渡り神幸祭 2011.2

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地元田川の田川産業が作る、漆喰を圧縮した素材、ライミックスと和紙などを使って作りました。

あの日も今日も明日も、空白に吸い込まれた一瞬がある。
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by kylynism | 2011-02-03 20:13 | 作品集

innocent spirits 2010.7

実家の私の部屋には、窓際にディズニーの滑り台があって、ピンク色のカーテ
ンの柄は、奇妙なピエロで、私は夕暮れ時の黄色い時に、滑り台に座って、黄
色にすけるピエロを一人づつ取り出した。
ピエロを一人残らずとりだしてしまった焦燥感に居ても立ってもいられなくな
り、おばあちゃんの家の庭の角にある、勝手に思い込んでいたのか植え付けら
れた記憶からか、自分と一緒に生まれたと言われる木の根元に、タイムカプセ
ルを埋めた。
何年経っても、タイムカプセルは見つからず、中に何が入っていたのかわから
ない。

ピエロのカーテンはどこかにいってしまった。

いつか行った森へ行こうか
右へ左へどこへいったか
あの頃私は
裏返しになることができた

ただ脈絡もない思い出は増える一方なのである
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by kylynism | 2010-08-09 12:19 | 作品集

blind memory 2010.2

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『意識の奥の紐をついーっとひっぱられたんじゃなかろうか』   

 近づけば近づくほどに、どんどん遠のいてゆく、現実が。そう、夢うつつなのです、陶酔。当たり前です、ジャーニーにはそれつきものなのです。
ジャーニーというものは、だいたい、常日頃のあんなことやこんなことを置いてけぼりにして、こことは違う場所へ向かう。
それは、実際に身体を移動する場合は勿論のこと、意識だけがつらつら移動してゆくこともある。私なんて、気がつけばいつも、どこそこに意識がジャーニーしてしまうのでありますが。とにかく、あんなことやこんなことを置いてけぼりにしてゆくような一般的なジャーニーとは打って変わって。

有田へ行った。

それも、連れて行ってしまったのだ。置いてけぼりにするはずの、超個人的な記憶を。
 有田と言えば有田焼。くらいしか知らないような有田へ、ARITA-mobileというプロジェクトに参加するために足を運んだ。このARITA-mobileというのは、上有田駅すぐ側の富右衛門窯をメイン会場に、その周辺の店舗や空き地などで、現代アート作家が滞在制作をしたり、作品を持ち込んで展示したりするものだ。その、何だか胸躍るような企画に、参加することになったのだ。
有田は、思った以上に有田らしかった。白くてつるんとした上に青い細かな線が走るように、有田の至る所で、思った以上に有田らしきものが走るのを見る事ができた。
 さて、今回のプロジェクトのテーマとして掲げられているが“場所を紐解く方法論として”というキーワードであった。裁縫箱の片隅に絡まるだけ絡まって、もうどうしようもない糸くずの塊のような、場所が経てきた時間や出来事を、いつになったらほどけるのだろうか~なんて思いながら、ちみちみちみと論理的に指先を動かす。本来ならそのような作業を経て、その場所を紐解いてゆくのだろうが、今回のような多種多様なアーティストたちが紐解く場合、その方法論は、それぞれの超独自の感覚で、いきなりスパーンと紐解くところにあり、それゆえ新鮮で面白いのだろう。
 搬入日に到着して、どうだろう、どこからスパーンと紐解こうか、なんてことを悶々と考えていたけれど、いやん、たった少しの滞在では、どうにもこうにも限界なのであった。そうとも知らずに私自身の記憶と有田の記憶は、勝手気ままにああだこうだ言っている。
私に与えられた会場、富右衛門窯は、有田焼の食器の工場のようなところであった。焼かれることを待ちすぎた素焼きの状態の食器や、神殿の柱のように積み上げられた石膏の型、社訓のような手書きの文言、タイムカード、大きな扉のついた窯、働く人々が帰った後の気配、しゃぼんの玉のような会話の跡。
結局、到着したその日は、少しだけ片付けなんかして、ビールを飲んで眠った。

夢を見た。
 
 形状も内容もはっきりしない、ただ気温だけが低いような、そんな夢を見た。朝日が昇るか昇らないかの挟間くらいの時間だっただろうか、建物全体が轟々とうねって、揺れよじれていたような気がした。工場中の蛍光灯がついて、人々の活気づいた気配があった。
富右衛門窯は明らかに、稼動していた。朝が早すぎる人々は、それぞれ自分の持ち場について、勤勉に働いているようだった。
 夢だったのかもしれないし、そうでなっかたのかもしれないが、限りなくフィクションに近いリアリティーだけが起き抜けの脳裏に焼きついていた。

 朝8時におきて、パンとコーヒーで朝食を済ませ、早速作品制作に取り掛かった。明け方の出来事は、誰にも言わなかった。特に理由はなかったが、言うべきではないのだと思った。半分夢を見ながら、ただもくもくと作った。記憶は、時間は、出来事は、夢の中で再生され消去され構築され刷り込まれてゆく。私は寝ている間に、無意識的にその場所を紐解いていたのだろう。
 
何が言いたいかというと、ジャーニーに幼き日の自分なんか連れて行くもんじゃないということと私自身が紐解いた有田について知っているのは、私の意識の奥の部分のみであるということ。結局は、自分の意識からは届かないところに大事なものがあって、それが有田と繋がり、ほどいて、汲み取っていった。私の自覚する意識の方には、かすかな有田のイメージと曖昧な温度だけが残り、会場にある私自身の「blind memory(盲目的な記憶)」と称する、富右衛門窯に残されたものが詰め込まれた家型の作品からは、幼き日の私が聞こえる。
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by kylynism | 2010-08-09 12:10 | 作品集

アリモシナイワタシ 2009.8

ここにいたような気がする
アリモシナイ記憶が
アリモシナイワタシをつくる
存在するかしないかは、結局は、脳が認識するかどうかです
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by kylynism | 2010-08-09 12:02 | 作品集

居留守 2009.2

いるようでいないいないようでいるだから哀しいだから哀しくない
私ここにいるのだろうか留守です居留守です只今居留守です
押し付けがましい私の存在は 消えてしまえばいいそういっその事消えてしまえば
いいけれど
簡単に消えるわけにはいけずだって私消えたくなかった
誰が確認してくれるだろうかと首は伸びに伸びて伸びる一方である
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by kylynism | 2010-08-09 11:58 | 作品集

chinks 2008.9

隙間からもれてくるんです
記憶が
だけどいろいろ経て来て
今に届くころには
何だか曖昧です

僅かながら繋がってます
続いてます
続きます

網膜の裏の裏に
あのころの
私がいるようです
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by kylynism | 2008-11-30 18:39 | 作品集

private garden 2008.7

あらゆる私たちを終わらせる
たった今終わらせた

今私はここにいて
あらゆる終わった私の上にいる

私自身の超個人的領域は
だれが見てもたいして面白くもなく
じんわりなったり熱くなったりするのは私だけ

私に興味がないのに
私の中に入って
思いのほかつまらなさそうにしているのは

何だか滑稽で
それでいて寂しかったです。

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by kylynism | 2008-11-30 15:35 | 作品集

佐土嶋洋佳(artist)の作品写真や日記などです。
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